【こんな症例も治りますシリーズ 354】 犬の脾臓の血管肉腫 も的確な診断と治療で治します。

ワンちゃんの脾臓の血管肉腫です。 エコー検査で調べた像なのですが、真ん中よりも左側に円形のモノが見えますか? それが、脾臓の血管肉腫です。 肝臓や、心臓にも転移していることが多いです。

 

 

参照サイト:

https://bit.ly/2WLvjnd

 

 

犬 フレンチブルドッグ 11歳 メス(避妊)

【 血便が出て元気がなく、かかりつけの病院で4日前から点滴治療などを行なっているが症状が改善されない 】という主訴で当院に転院されてきました。

 

■ レントゲン、エコー検査、血液検査を行った結果、脾臓に腫瘤が存在し腹水の貯留が認められまた貧血も確認されました。

■ 腹水は吸引してみると血液でした。 脾臓の腫瘤が破裂して出血しているものと診断しました。

■ 脾臓の腫瘤は良性の腫瘍もありますが、出血がみられていますので放置しておけばショック症状を起こし死に至ることも多いため、脾臓摘出術を提案いたしました。

 

■ またDIC(播種性血管内凝固症候群)という、血液の凝固異常を診断するためのDダイマーの数値も高く、手術するためには輸血の準備もしました。

 

 

■ 脾臓は5センチ大の腫瘤があり、表面が破けて出血していました。 癒着していた大網(たいもう)も合わせて摘出し、病理検査したところ【血管肉腫】という悪性の腫瘍でした。

■ 脾臓を摘出し出血が止まったため、手術後の輸血の効果も合わさって貧血は改善され、術後は元気になりました

 

 

■ 飼い主さまは、11歳という年齢から、初めは手術をためらっていらっしゃいましたが、決心していただいて本当に良かったと思います。

■ しかし、脾臓の血管肉腫は悪性腫瘍で、術後の抗癌剤治療を行っても1年生存率は1割程度と言われています。

 

 

■ 現在、このワンちゃんはアドリアマイシンという抗癌剤の治療をするために、とても元気に通院してくれています。

■ 予後(手術などの治療後の状態など)は一般に悪いと言われていますが、出来る限りのことをして1日でも長く元気でいられるようサポートしていきたいと思います

 

 

獣医師 新井澄枝

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